見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2007/06/23

とてつもない殺しの現場



2005年7月6日にエド・マクベインは亡くなった。彼のことを知ったのは、一番有名な87分署シリーズという南北に細長いニューヨークの街を90度回転させて横長にした架空の街アイソラの警官たちの話で、あるとき古本屋で大好きな形状のポケット版ハヤカワミステリの一冊を発見したことがきっかけだった。最初に読んだのが「警官殺し」かどうかは忘れたが、話の中にたとえばビートジェネレーションや、ジャック・ケルアックの当時大学生のあいだでよく読まれた小説「オンザロード(路上)」、はやった曲など、時代がよくわかるサブカルチャーについての言及が必ずあることに魅了されて、気がつくと日本で出ていたシリーズの全部を読んでいた。いま56冊出ているうちの9割は読んだと思う。
その過程で、たまたまニューヨークから帰った年にエド・マクベイン本人が出版記念のイベントで来日するというのを知り、新宿の紀伊国屋ホールへ彼に会いに行った。なるべく前の方の席で彼のことをよく見ようと思ったら、わたしの前に見える頭は何冊か彼のシリーズを翻訳している田中小実昌さんでその隣にエド・マクベインの美しい奥さまがいた。サイン会では普通、新刊を買ってそれにサインをしてもらうものなのに、わたしは古いポケット版ハヤカワミステリ、それも古本屋で買った一冊を持って行き、多少気が引けたが、それにサインをしてもらった。彼がハンターカレッジで教えていたことがわかったので、わたしもハンターカレッジで少しだけ学んだことやなんかを話そうと思っていたのが、いざわたしの番になるとわたしより先にエド・マクベインが「シーズソーキュート」と言って隣の奥さまに同意を求めた。単にハデハデなニットを着ていたにすぎなかったのだが、それですべてが狂ってしまい、完全に舞い上がって「ずっとあなたのビッグファンです」となんともマヌケなことを言うだけで終わったのだ。
こういうことがあったから余計に思い入れが深まったというのがある。
エド・マクベインは78歳で亡くなった。死因は咽頭ガンでした。
以下、Who's Whoより:
アメリカのミステリー作家。本名はエヴァン・ハンター。1952年のデビュー以来、本名をはじめハント・コリンズ、リチャード・マーステン、カート・キャノン、そしてエド・マクベインといった多数のペンネームを用い、ミステリーだけでなくSFや普通の小説、ラジオドラマから児童書まで、多種多様なジャンルの作品を発表している。
1950年頃から作家を志し始めるようになり、教師をしながら「マンハント」などのパルプマガジンにたくさんの小説を寄稿し、1952年には初めての長編「The Evil Sleep !」を発表して長編デビューも飾る。
そして1954年に長年の教師経験をもとにエヴァン・ハンター名義で長編「暴力教室」を発表するが、高校生の非行をリアルな筆致で描いたこの作品はたちまち大評判となり映画化もされ、一躍人気作家の仲間入りを果たす。
次いで1956年には架空の街アイソラ市を舞台に87分署の警官たちの活躍を描いた87分署シリーズ第1作「警官嫌い」をエド・マクベイン名義で発表。
この87分署シリーズは警察小説と呼ばれる新たなジャンルを確立した画期的な作品となっただけでなく、彼自身一番のヒット作品となり、この後50年の長きにわたって同シリーズを中心に作品を発表していくことになった。
その他にもフロリダが舞台のホープ弁護士シリーズや酔いどれのハードボイルド探偵カート・キャノンなどのシリーズ作品もあるが、そのどれもが歯切れの良い語り口とテンポの良い読みやすい文章で高い人気を集めている。
1986年にはアメリカ探偵作家クラブ賞の巨匠賞、1998年にはイギリス推理作家協会賞のダイヤモンド・ダガー賞を受賞している巨匠だ。

写真は、エド・マクベインの「The Gutter and The Grave(どん底生活と墓場)」と87分署シリーズ最終作で最後の作品となった「Fiddler(最後の旋律)」です。

2007/06/21

今日はスケボー・プッシュの日


今朝散歩の途中で、向こうからスケボーをプッシュしながらやってくる近所のサーファーショップのK-mochi君と出会いました。なんでも今日6月21日は「世界プッシュ・デー」なんだそうです。プッシュとはもちろん、スケボーの基本動作「プッシュ」(片足をボードに乗せて残りの脚でこぐ)のことなんで、今日一日は世界中でスケボーをプッシュするストリートスケーターの姿を普段より多く見かけることになります。彼は午前中はサーフィンを教える先生になります。この辺ではおじさん&おばさんのサーファーもよく見かけます。年齢に関係なく、波がよく見えてる人は上達が「スッゲー速い」と先生は言います。うちのサンバがお留守番中にこの先生にドッグシッターを頼んだことがある縁で、サンバにも波乗り教えて!と頼んだところ、「いいかもしれない!」「犬の散歩でサーフィンもやるよ!っていうんで広げてみようか」、彼も一瞬やるきになってくれました。犬のアウトドアグッズでかっこいいライフジャケットも売っています。カヤックなんかに乗る犬用なんでしょうけど、サーフィンするときには必要になります。ボードも特注で作るか。
K-mochi君は、明日22日の夏至の夜にはキャンドルうんと集めて「キャンドルナイトやります!」と言って、またスケボーをプッシュしながら海に向かいました。うちらも海に向かいまーす!
そうそう、昨日、フィンチャーの「ゾディアック」見てきました。始まりは独立記念日の夜、クルマで流す通りの家々からは花火があがっています。この映画はゾディアックと名乗る連続殺人鬼について語るのではなく、ゾディアックに入れ込む3人の男たちに焦点をあわせます。マーク・ラファロをはじめとする刑事たちが彼らをコケにする犯人を追うのはわかるにせよ、新聞社の記者とその同僚の諷刺漫画家が、どうしても「目の前の犯人の顔を見て、こいつか」と納得するまで他のことすべてをなげやっても取り憑かれるという尋常でなさを見せています。といっても、記者はもともとドラッグやアルコールに浸っているし、諷刺漫画家はパズル好きで、パズルを解くことにはまっていくというのは想像つかないわけではありません。でも再婚相手のクロエ・セヴィーニと3人の子どもたちを忘れて家族崩壊も顧みず、なんですけど。
記者役のロバート・ダウニー・ジュニアはその前に見ていたリンクレーター監督の「スキャナー・ダークリー」でも同じようなタイプを演じていました。この映画はすごいですよ。原作もすごいですけど。人気TVシリーズ「CSI」マイアミに出ていた俳優の演技は、みものです。「D」というドラッグにぶっとんでるようすが実にシュールでリアルでした。俳優が演じているのをアニメーションにするという前作同様の手法で撮っていて、150種類ぐらいの人間の姿を装う服を着て、おとり捜査するエージェントが誰だかわからなくするんですが、この服を表現するのにはアニメーションが適切だったことがわかります。日本では評判よくなかったんですが、原作者のフィリップ K ディックが言いたかったことはうまく伝わってきています。
話戻ってフィンチャーの「ゾディアック」のワンシーン、わりといい地区の通りでタクシードライヴァーが殺されます。写真の通りを歩いているのが犯人。犯人は黒人だとの誤報が流れ、警官たちがすれ違っていたにもかかわらず、みすみす取り逃がします。出演者たちはみなそれぞれによかったですよ。「ER」のグリーン先生(アンソニー・エドワーズ)がマーク・ラファロの相棒役刑事を演じていました。当時のかっこうと当時のヘアースタイルの彼らをお楽しみください。それと音楽と。
マーク・ラファロの声が好きです。

2007/06/19

さわやかに欧州を去るベッカム


スペイン1部リーグのレアルマドリードが17日の最終戦でマジョルカを下し、4年ぶり30回目のリーグ優勝を果たしました。
なんといってもこれを心から喜んだのはレアルマドリードでの試合が最後となる、そしてレアルで苦渋をなめた、デビッド・ベッカムだったはずです。
試合終了後ベッカムは、「すごくうれしい。家族も来てくれているし、本当に信じられない」とコメントしました。
ビクトリア夫人はもちろんスタンドで、友人のトム・クルーズ、ケイティ・ホームズといっしょに夫を見守っていました。アメリカに移籍後は、ビクトリアは女優で親友のケイティ・ホームズといっしょに子供服のブランドを立ち上げるという話を聞いています。いろいろ才能豊かなんですね。
「ジダン、フィーゴ、ラウル、ロナウド、そしてロベカルと一緒にプレーがしたくてレアルに来たんだ」と話すベッカムは、4年間のチーム在籍で157試合に出場。でも、移籍直後の2003年スペイン・スーパー・カップで優勝して以来、レアルでタイトルを獲得したことはありませんでした。
2003年6月に華のマンチェスターUから「世界のアイドル」として「銀河系軍団」レアルに加入。フロントがベッカム路線を打ち出してチームは空中分解します。ずいぶんと悪者扱いされました。家族のことでチームから離れるなどの単独行動や派手な私生活ばかりが取りざたされ、無冠が続いた3季は優勝を逃す原因とまで言われました。ベッカムには初めて味わう挫折や屈辱があったはずです。ファンには納得のいかない、長いことベンチウオーマーをやらされもしました。
今季就任したカペッロ監督の構想から外れ、米MLS・LAギャラクシー移籍を決意すると、「シーズン中に移籍を決める選手など必要ない」とさらに冷遇され、カルデロン会長からも「ハリウッドスターにでもなるんだろう」と非難されました。イングランド代表でもクラブでも定位置を奪われ、MLS行きを決めると練習からも外されました。それでもベッカムは負けませんでした。真摯に練習に励みました。
家族が支えだったそうです。代表戦のテレビ中継に彼の姿がないのを見て、「パパは出ないの?」と言った息子の言葉に出直しを誓ったそうなんです。
そうして出場機会が増え始めた2月から、チームも上昇気流に乗り始めます。ファンから見ると、彼が出れば、必ずやることやってくれてましたから。そして、逆転優勝の原動力となった男に、ついに彼をはずしていたカペッロ監督も、「一番の失敗はベッカムの力を見誤ったこと」だと非を認めます。そしてレアル側からも150億円の違約金を用意して移籍を覆そうとのオファーがありました。
「4年間いろいろなことがあったが、すべてが報われた」「新たな戦いに精いっぱいのぞみたい」
さわやかに欧州を去るベッカムの言葉でした。
そうそう、最終戦で突破口となるゴールのアシストをしたキャプテンのラウルは「チームを去る偉大な選手を優勝で送り出そうと一丸になった」と、ベッカムの存在が起爆剤になったことを明かしました。ラウルもとてもうれしそうでした。2点目のゴールが決まったとき、キーパーのカシージャスが感極まって涙をぬぐっているのが印象的でした。そのときスタンドで観戦していたクレーコートの王者ナダルもまた感極まっていました。彼はマドリニスタです。
また、やはりレアルを去る、ロベカル(ロベルト・カルロス)の胴上げもあって、サイコーの締めとなりました。ロベカルのあの豪快なロングシュートを見れないのは寂しい限りです。TVでは放映しないでしょうから。ベッカムのアシストや、まさに「そこに落とす!」感動もののキックが見れないのもですが。アメリカのサッカーなど見たくないですから、でも絶対に放映はするよな。

2007/06/17

いい犬になる予感


これはヴァーモス、うちのボクサー犬です。顔は、はれてるわけではありません。これが正常なヴァーモスの顔です。まだ訓練所に行く前の、のんきなヴァーモスで、浜で気持ちよくくつろいでいるところです。
海ではよくクサヤ状態の魚を見つけては、全身「狂喜」のかたまりになって、クサヤとじゃれあって転げ回って遊び、ついには食べちゃうんです。そのときの彼はサイコーにうれしそうです。
今日、ヴァーモスに会いに警察犬訓練所まで行ってきました。訓練も大詰めで、4回受ける飼い主と犬とのトレーニングの今日が2回目でした。ヴァーモスはどうして、なかなかやるんです。
ひょっとしてサンバより訓練が入るのかもしれません。でもぜんぜんタイプ違うので、そこが飼い主にとっての訓練のポイントとなります。広いところでノーリードでいるときがボクサー犬の本領発揮なんだそうです。ボクサー犬に無理強いは禁物です。あくまでも伸び伸びとさせて、叱るよりもわかるように教えてやることがだいじです。イメージを描いてそれを犬に伝えてやることなんです。
ヴァーモスを見ていて、なんだかわくわくしちゃいました。きちっ、きちっ、とではないけれど、おおらかに、そして不器用に、飼い主に忠実で家族思いの「いい犬」になる予感がしました。

サンバの鼻がスヌーピーに


昨日の土曜日のこと。浜はきっと釣り人とサーファーたちに占拠されてるだろうから、朝の運動は海岸公園でがまんしよう。それがいけなかった。
海岸公園のグラウンドの緑はすでに人間の膝丈だから、サンバは鼻を突っ込むのがひとつの愉しみになっている。黒松の杜は除草剤と駆虫剤をまいたあとだから遠慮しておく。自由に飛び回るサンバは、やはり草むらに鼻を突っ込んでいた。なにか黒いものがぴょんぴょんぴょんとはねた気がした。サンバもそれを追いかけてはねている。でも一瞬、変な間があいた。
うちに帰るや、サンバは家の駐車場で動くものを夢中になって追いかける。ヤモリかイモリかトカゲか、一瞬追いつめたが、するりと抜けて外に逃げた。
午後2時頃、ガラス越しにサンバと目が合った。うぬ、ガラスがゆがんでいるのかな?サンバの顔が変てこにふくらんで見える。しばらくぼーっと見ていたが、やっぱり変だよ。ガラス戸をあけてサンバに近寄ると、うわー、サンバの鼻がスヌーピーになってる!
イエローラブラドールにしてはうちのサンバの顔は細面で、柴犬でもミックスされてるんじゃないの〜と嫌みのひとつも言いたくなるほどなのに、
きっとあのとき草むらでなにかにさされたか?毒にあたったか?あるいはなにかのアレルギーかもしれない。
あわててドクターに電話する。抗生物質はあるから、飲ませるかどうかなのだが、人間社会でも抗生物質をやたら患者(子どもも)に与える日本の医者の態度や抗生物質をもらえば安心という患者側の態度が問題になっていることもあるので、できれば飲ませたくない。
ドクターは夕刻までようすを見るよう指示した。夕方5時過ぎ、サンバの鼻のはれはおさまってきていた。さすが、うちの主治医はいいドクターだ。
今朝は、右側の目が少しだけはれぼったい感じにまで回復していた。
サンバのスヌーピー顔を見てください。
ほっ!