見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2008/06/21

原子力発電所あと100個



◇タグバ司令官:ブッシュ政権は戦争犯罪を犯した
アブグレイブでの虐待を最初に調査した陸軍司令官がブッシュ政権は戦争犯罪を犯すと非難している。米国の拷問の慣行について退役したアントニオ・タグバ少将が新たな報告でコメントした。「最高司令官とその部下らは拷問の組織的制度に権限を持たせた。」とタグバは書いた。「あとになってみないとわからない唯一の問題は、拷問の使用を命じた人々が理由の説明を行おうとするかどうかだ。」とタグバは続けた。

◇エクソンモービル、シェル、BP、イラクの石油を入札なしで契約される
36年ぶりにイラクに復帰させる契約で、西側の石油大手4社が交渉の最終段階にあるとニューヨークタイムズが報じる。イラク最大の油田を使えるようにする入札なしの契約でイラク石油省と協議する会社のなかに、 Iraq Petroleum Companyの最初のパートナーであるエクソンモービル、シェル、トタル、BPがいる。契約を認めることで米国がどんな役割を演じたかは明らかでないとタイムズは伝える。アメリカ人はイラク石油省にアドヴァイザーとして任務を果たし続ける。

◇石油ドリリング(穴あけ)禁止令を解くようブッシュが議会をせきたてる
水曜、沖合海底油田の穴あけと北極圏野生生物保護区での連邦禁止令を取り除けと、ブッシュ大統領が議会をせきたてた。
ブッシュ大統領:「今朝、アメリカの石油とガソリン生産量を拡大するため4段階で前進しようと民主党の議会指導者らに要求した。まずは、遠く離れた大陸棚(またはOCS)へのアクセスを増やすことでわれわれはアメリカの石油生産を拡大すべきだ。エキスパートらはOCSが石油約180億バレルを生産するかもしれないと考える。それは、ほぼ10年間のアメリカの現行の石油生産量に十分見合う量となる。」
ブッシュのコメントは、ガソリン価格の値上がりに反抗するには沖合の石油穴あけ禁止令を解くことが必要だと共和党大統領候補者ジョン・マケインが言ってわずか数日後に出た。マケインの最初の声明以降、彼のアドヴァイザーは禁止令を解いても供給や価格に直接の影響がないことを認め始めている。民主党大統領候補者バラク・オバマは沖合の石油穴あけに反対している。水曜、民主党指導部は禁止令を解くための奮闘と戦うつもりだとイリノイ州のラーム・エマニュエル下院議員は言う。
ラーム・エマニュエル下院議員:「石油産業が賃貸権を所有したがる今日、この時点ですべきでないことをしてアメリカ国民をびっくりさせるつもりはない。14年のエネルギー供給の価値は、文字通り、外国依存から乳離れさせる私たちの手腕となるものだ。従って、非常に実際的で常識はあっても、それが自然保護地区と効率の度合い(有効性)に関連があるとき、私たちは供給と需要の両方を含むアプローチから戦略上の配慮をするつもりだ。」

◇ウォールストリートの銀行が石油投機家の規制反対をせきたてる
話変わって、ガソリン価格が値上がりし続けるとして、エネルギー投機を規制する新法案の可決を遅らせることでウォールストリートの投資銀行数社が議会に圧力をかけている。ゴールドマンサックスとモーガンスタンレーの代理人が、石油投機に新たな規制は必要ではないと議員らを精力的に納得させようとしているとワシントンポストは報じる。

◇マケインが新たに45基の原子炉を大声で要求する
別のエネルギーのニュースでジョン・マケインは米国が2030年までに新たに45基の原子炉を建設することを要求している。究極のゴールは、新たに100カ所の原子力発電所だとマケインは言った。1979年のスリーマイル島での炉心溶融以降、米国では原子力発電所は建設されてきていない。バラク・オバマも原子力利用の拡大を支持するが、新たな発電所建設に関して詳細な計画を展開してきていない。

◇ニューヨーク市警(NYPD)が、ヒップホップグループ、Rebel Diazのメンバー2人を逮捕
ここニューヨークでは昨日、政治的なヒップホップグループ Rebel Diazのメンバー2人の釈放を求めてブロンクスで抗議が行われた。ストリートで果物を売る露天商に立ち向かう警官を2人がなんとかヴィデオに撮ろうとしたとき、2人は逮捕され打ちのめされたとミュージシャンたちは言う。「2人が警官の身分を示すバッジを問い合わせると、根本的に警官は激しくなぐり出した。」と Rebel Diazの別のメンバーは言った。

◇CBSの記者:米国のメディアを見るために「気が狂いそう」
そしてついに、りっぱな国家のメディアには、ことによると予想外の新たな批判者がいる。ララ・ローガン、CBSニュースの海外特派員のボスだ。最近、ローガンがジョン・スチュワートと共に番組デイリーショーに登場した。
ジョン・スチュワート:「米国で私たちが見ているニュースを見ますか?」
ララ・ローガン:「ノー。ノー。」
ジョン・スチュワート:「私たちが戦争のことで批判を聞かされているのを知ってますか?」
ララ・ローガン:「ノー。」
ジョン・スチュワート:「どうやら私たちは実のところはすべてをわかっているのかもしれないですね。」
ララ・ローガン:「米国であなたが聞いているニュースをもし私が見るとしたら、銃で頭をぶち抜くでしょうね、だって気が狂いそうだからよ。」
(以上、デモクラシーナウ!6月19日ヘッドライン)

◇テキサスの共和党大会で反オバマの人種差別のピン(襟に留めるピン)が売られる
他の選挙戦ニュースでは、先週の党大会で人種差別のピンを販売させたことでテキサスの共和党が批判を受けている。ある露天商は「オバマが大統領でも、、、まだホワイトハウスと呼ぶつもり?」とあるピンを売っていた。
(デモクラシーナウ!6月18日ヘッドライン)

写真は「ブッシュ政権は戦争犯罪を犯した」と報告書に書いたアントニオ・タグバ少将。そしてイスラエルとハマスの停戦が19日に実行されたガザ地区の闘士、イスラム聖戦のメンバーたち。「イスラエルとの停戦が持ちこたえるとガザ地区の人々が信じるか否かに関係なく、それは少なくとも最近までほとんど希望らしい希望がなかったガザという場所に少しは希望を提供している。イスラム聖戦は停戦を歓迎し、それを尊重するつもりだと言う。」(BBC NEWS 19 JUNE)

摂氏50度の隔離独房


最近出版され、目下ニューヨークのAperture Galleryで写真展が開催中(7月31日まで)のリチャード・ロスの写真集「Architecture of Authority:権威の建築」をWIRED VISIONが紹介している。さまざまな施設の建物が人びとにどのように力を行使するかがプロジェクトのテーマだ。
この本の中でロスは、イラクのアブグレイブ刑務所から、警備が特に厳重なことで知られるカリフォルニア州のペリカンベイ州立刑務所にいたるまで、秘密主義をとっていたり警備が厳重だったりするあらゆる建物への立ち入りを驚くほど成功させている。
この前例のない潜入は、粘り強さと純粋な好奇心のたまものだとロスは言う。「ああいった施設にいる人々の多くは、こちらが彼らの世界に興味を持っているとわかると、それらの場所を見せてやろうという気持ちになる」とロスは述べている。

写真はそのなかの一枚ーー。
イラクのアブグレイブ刑務所、キャンプ・リメンブランス(記念)の隔離独房
ロスにとってこれはプロジェクトのテーマとなる写真だ。2005年8月、摂氏50度にもなろうかとの猛暑のなか、窓越しに5分のスキをとらえて撮影された。写真は施設の役人らによってもう少しで妨げられるところだった。
(Courtesy Richard Ross Inside the Architecture of Authority
by Keith Axline 29 May 2008)

2008/06/20

まだ石油を掘ろうとする


◇パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルが合意したガザ地区での停戦が19日午前6時、発効した。ガザでの停戦は、ハマスが昨年6月にガザを制圧した後、初めて。
エジプトが仲介した合意によると、イスラエルは数日後からガザの境界封鎖を段階的に緩和し、物資搬入を認める。さらに両者は(1)ガザ住民が外国渡航に使うエジプト境界のラファ検問所再開(2)ハマスなどが2年前から拘束しているイスラエル兵の解放ーーについて、交渉を本格化させる。
イスラエルのオルメルト首相は18日、停戦について「イスラエルは履行するが、脆弱で長続きしないだろう」と述べ、いかなる作戦にも対応できるよう軍に準備を指示したことを明らかにした。ガザのハマス幹部のハニヤ氏は、停戦が「ガザ住民の生活の困難を和らげ、イスラエルにも安定をもたらす」と述べた。
(共同通信 2008年6月19日)

◇イスラエル政府は18日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの停戦を19日朝に開始することに同意したと表明した。ただ、イスラエル国内には「テロ組織との取引」に反対する声も強く、政府は今後もガザでの臨戦態勢を維持する方針だ。
イスラエル放送によると、カイロでエジプトが仲介する両者の停戦交渉に臨んでいたイスラエル国防省当局者は「ガザのすべての勢力がイスラエルへの攻撃を停止しなければならない」と指摘。ハマスだけでなく、イスラム聖戦や民衆抵抗委員会(PRC)など他の武装組織の動向を注視する考えを示した。
(時事通信 2008年6月18日)

◇パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは17日、ガザ市で記者会見し、エジプトの仲介によりイスラエルとの停戦に合意したと発表した。
停戦は19日朝に発効し、期間は6カ月間。イスラエルは、ガザに対する封鎖の段階的解除に合意したという。
記者会見には、ハマス幹部のザハル元自治政府外相らが出席。停戦にはハマス以外の武装勢力も参加する予定で、(1)停戦発効の数時間後、イスラエルはガザへの物流を一部再開する(2)停戦から1週間後、ハマス、アッバス議長が率いる自治政府、欧州連合、エジプトの4者が、ガザ〜エジプト間の検問所再開に向けて協議する——ことなどで合意したという。ザハル氏は「(米、イスラエルが主導してきた)封じ込め政策は失敗した。武力闘争の勝利だ」と述べた。
ロイター通信によると、エジプト外務省報道官は17日、合意成立を確認。アッバス議長も合意を歓迎する声明を発表した。ただ、イスラエルのバラク国防相は同日夜、「(停戦の)宣言は早すぎる」と慎重姿勢を示した。同日、イスラエル軍のガザ攻撃で武装勢力のメンバーら6人が死亡した上、ハマスの記者会見後もガザからのロケット弾攻撃が続いており、停戦実現には依然、不安定な要素も残されている。
イスラエルは、昨年6月にハマスがガザを武力制圧して以降、ハマスに対抗するアッバス議長と和平交渉を進める一方で、ガザへの物流を差し止め、ハマス追い落としを狙ってきた。だが、ハマスなど武装勢力がイスラエル攻撃を活発化させたことで、国内で死傷者が続出。政府はハマスを無視できなくなり、エジプトの仲介による間接交渉を余儀なくされた。
( 読売新聞 2008年6月18日)

◇タリバンがカンダハル近くの7つの村を奪う
アフガニスタンではタリバンの闘士がアフガニスタン第2の都市カンダハール近くの7つの村の支配を奪っている。戦闘員がカンダハルの刑務所を爆破して1000人の被収容者を逃がした数日後にタリバンの攻撃は起こる。

◇アムネスティ:イラク難民の危機が悪化
イラクの安全情況の不正確な実態を増進することで、米国と他の国々がイラク難民に対するその責任をはぐらかしていると、アムネスティインターナショナルは非難している。「米国政府のレトリックはそうでないと指摘するとはいえ、イラクの人権情況は自発的な帰還を勢いづかせるには恐ろしすぎる。」とアムネスティのサルナタ・レイノルズは述べた。国連によると、自分の家から逃げ去ったイラク人の数はいま、米国の侵攻以来最大の470万人に達している。
ダマスカス(シリア)でのイラク人難民の暮らし:「彼らの家は破壊されているか他人に盗まれている。飲料水や電気のような付帯設備はない。病院にしても人々に医療処置を施すのに向いてないほど不十分である。学校に対して、子どものことで常に親から言い争いがある。彼らは子どもたちが誘拐されることを懸念する。」

◇ロイターのジャーナリスト銃撃のヴィデオをなくしたせいで軍は批判される
話変わって、2005年バグダッドで米軍によって射殺されたロイターの音響技師ワリード・カレドの事件で新たな進展がある。ペンタゴンの監察長官は、カレドを殺害した米兵らは軍規の範囲内の行動だったと裁定した。だが、銃撃の証拠となるヴィデオを保存するのを怠ったことで、事件に関する軍の徹底的調査が汚されたのを監察長官は認めた。申し立てによると、クルマの中のロイターのカメラマンの銃撃を含め、結局は銃撃となる成り行きをとらえたヴィデオを、軍の調査官がなくしたとされる。

◇グアンタナモの方針に疑問を呈するせいでブッシュがUKのジャーナリストをアメリカを中傷すると非難
グアンタナモの被収容者の待遇でブッシュに挑んだ後、結局はブッシュがその英国人ジャーナリストをアメリカを中傷すると非難している。ブッシュのコメントは英スカイニュースのアダム・ボールトン記者のインタヴューの中で起こった。
ボールトン:あなたは自由についてたくさん話してきていますね。あなたにお目にかかるたびだと思います、私はあなたが自由について話すのを聞いてきています。
ブッシュ:そうね。
ボールトン:そしていぜんとして、そら、グアンタナモベイやアブグレイブや拷問の他国への引渡しやなんかの事態を挙げろ、それは自由とは完ぺきに反するものだと言う人たちがいます。
ブッシュ:もちろん、君がアメリカを中傷したいなら、そういう風に見ることはできる。だが、君がしないことで君は負ける、私は記者会見でやれと提案したと思う。君がグアンタナモに及んで被収容者らがどう待遇されているかに目を通すなら、われわれの裁判制度を通じてうまくやってのけている。われわれは法治国家だ。
ボールトン:彼の地であなたが行っていることは法に反していると最高裁が言ったばかりじゃないですか。
ブッシュ:だが、連邦第一審裁判所(地方裁判所)はそうは言わなかった。そして上訴裁判所はそうは言わなかった。
ボールトン:最高裁は最高度ではないんですか?
ブッシュ:最高度だよ、私は彼らの判決を受け入れる。判決に同意はしない。それはあそこで私が行っていたことではない。これは、私が可決承認させるため議会を動かそうとして米国議会で可決された法案だった。
ボールトン:でもそれはある程度は、憲法を出し抜くための試みのように見えました。
ブッシュ:アダム、これは可決された法案だ。われわれが法案を可決した。憲法を出し抜くというのは、憲法の限度を超えてわれわれがなにかしたことを意味するね。われわれは議会に訴えて(頼って)ひとつの制定法を可決させたのだ。
ボールトン:それがいま取り消されているも同然ですよね。
ブッシュ:それはそうだ、そして私は最高裁のしたことを受け入れる、そして私が必ずしもそれに同意する必要はない。君に対する私の真意は、確かにアブグレイブがなかったらいいのにと思うってことだよ、だが、それがアメリカの信用をそこねたりしない。これはある兵士らのふるまいだった。アメリカの本質と精神を示さない。
(以上、デモクラシーナウ! 2008年6月17日ヘッドライン)

◇米中西部を今月初めから襲っている洪水被害は17日までにアイオワ、イリノイ両州を中心に拡大、AP通信によると、これまでに少なくとも22人が死亡、85人が負傷し、数万人が避難した。アイオワ州のトウモロコシなど米有数の穀倉地帯も大きな打撃を受けており、「2005年の大型ハリケーン・カトリーナ以来の被害」(米政府当局者)とも指摘され始めた。
米農務省の推計では、アイオワ州のトウモロコシ畑の9%、大豆畑の8%が浸水。同州の農作物の被害額は10億ドル(約1080億円)を超えるとみられ、穀物価格のさらなる上昇が懸念されている。
ブッシュ米大統領は同日、連邦政府の災害支援基金の利用などによる被災農家などへの支援を約束、19日にはアイオワ州を訪問すると表明した。
(共同通信 2008年6月17日)

◇中国南部の産業中心地、広東省では、大雨や高潮、河川決壊によって新たな洪水発生の危険性が高まっている。新華社が17日、同省関係者の話として報じた。
中国南部では、このところ降り続いている大雨により169人が死亡している。
広西壮族自治区では約100万人が避難。広東省では、仏山、中山、広州など大規模な輸出産業地区を抱える珠江三角州地帯が洪水の危険にさらされている。
新華社によると、大雨によって同省の道路が受けた被害額はこれまでで約6億元(8600万ドル)。この他、生産低下や農作物被害などの経済損失が予想されている。
中国南部は1月にも、大雪で深刻な被害を受けたばかり。
5月12日に四川大地震に襲われた一部の地域でも、大雨のため洪水が発生しており、土砂災害の恐れが高まっている。
(ロイター 2008年6月17日)

◇米ホワイトハウスのペリノ大統領報道官は、ブッシュ大統領が18日、議会に対し、沖合の石油採掘の禁止措置を解除する法案を可決するよう求めると述べた。
ペリノ報道官は「ガソリン価格が1ガロン4ドルを超えていることなどから、大統領は明日、安全で環境に配慮した沖合の石油採掘に対する禁止措置の解除を議会に求める」と語った。
この措置は1981年以来実施されており、共和党は解除を求めているが、民主党は環境面に対する懸念からこの動きを繰り返し阻止している。
(ロイター 2008年6月17日)

写真はガザの男性、BBC NEWSより

2008/06/18

人間が原因の地震



◇コロンビア大学「ラモントドハティー地球科学研究所」で地質災害を研究するクリスチャン・クローゼは「人間が原因で地震が発生するのはわかっている、そしてそれはごくありふれたこと」だと話す。イギリスで記録された地震のおよそ25%が人間によって引き起こされたものだと彼は推測する。

「人間が原因の地震」はその大半が震度4に満たない小さな地震だ(日本の震度基準ではなく、ヨーロッパで使われるEMSという12段階の震度基準)。こうした地震は石炭やカリを大量に採掘するといった人間の行為なしには起こらなかった。たとえば、6人の死者を出した2007年のユタ州クランドールキャニオンの炭坑での落盤事故のような、鉱山の天盤が崩壊したときなどにこれは起きた。

だが人間の行為がはるかに大規模な自然の断層の境界で地震を引き起こすこともあり得る。人間には巨大マシーンの力を借りて地球の地殻内の応力パターンを変化させるほど質量を動かすことが可能だからだ。そうなると、百万年地震を起こさなかった断層でも、突然地震を起こすことがある。

オーストラリアで初の死者を出した1989年のニューカッスル地震(マグニチュード5.6、死者13人)がそのようにして起こった地震だとクローゼは主張する。クローゼは「炭鉱の採掘とそれにともなう大量の地下水の喪失がニューカッスルの地下断層に刺激を与えたことで地震は起きた」と述べている(ABCニュースの記事による)。

人為的な地震を引き起こすのに質量を変動させることが効果的だと判明している。ダムだとか、原油やガスの採掘、または鉱物の採掘などで、この種の地震は引き起こされる。

・ダム建設

水は空気より重いため、ダムの谷間に水がたまると水の下の地殻にかかる応力に大きな変化が生じる。たとえば、アメリカの巨大ダム、フーバーダムの周辺ではそのミード湖に放水されて以来、何百と地震が起きている。ダムが原因で起きた地震の例はほかにも多数あり、クローゼの研究によると、人為的な地震の約3分の1が貯水池建設によるものと考えられる。5月12日、中国四川省を襲った大地震(マグニチュード7.9)では、三峡ダムへの貯水が原因ではないかとの懸念が浮上している(PROBE INTERNATIONALの記事)が、これについて今のところ確証は得られていない。

・地中への液体注入

米国陸軍は1961年、ナパームの製造その他で生じる有毒廃棄物を処理する最善の方法は、ロッキー山脈に深さ約3700メートルの井戸を掘って廃液を地球の地殻内に注入することだと考えた。(ロッキーマウンテン兵器工場はナパーム、サリン、VXガスなど大量の軍用化学兵器を製造していたほか、米国最大の化学兵器貯蔵施設でもあり、全米の化学兵器を廃棄する設備として利用された。)

1962年から66年にかけて、陸軍は約6億2500万リットルの有毒廃棄物を地球にあけたこの穴に注いだ。だが残念ながら、この注入作業が原因と見られる地震が周辺地域に頻発し、陸軍は廃棄を停止した(1962年春からおよそ1カ月に数10回から多いときで60回以上の地震が頻発したデンバー地震のこと。当初、廃液注入が原因との見方は否定されたものの、注入を止めると地震は起きなくなった。)

これについて地震学者デイヴ・ウォルニーは、「深い井戸への注入は、その下の岩盤にかかる応力を変化させることになり、どこかの時点でその応力を解放するのに地震が引き起こされる」と説明する。

コロンビア大のクローゼは、二酸化炭素貯留(石炭を燃料とする発電所で回収し圧縮した二酸化炭素を、地下の貯留場所へ注入する方法)もまた地震を引き起こす可能性があり、あらに悪いのは、この場所が人口密集地域に近いことだと懸念を表す。

・大量の石炭採掘

米国では電力の半分以上を石炭でまかなっており、中国ではこの割合がさらに大きい。これはいま現在も、化石燃料を地球からせっせと掘り出している炭鉱が多数存在することを意味している。

2006年だけで、合計61億9500万トンの石炭が採掘された。また、炭鉱では石炭といっしょに水をくみ出すことが多く、場合によると、石炭の何10倍もの水がくみ上げられる。両方合わせると、その地域では大きな質量が変動することになる。

大規模な質量変動はその地域の地震応力を変化させ、それが地震を引き起こす引き金になる。クローゼの研究は、記録に残る「人間が原因の地震」の50%以上が、採掘によるものであることを説明する。

・原油や天然ガスの採取

「人間が原因の地震」のうち、最大の3件(どれもマグニチュード6.8以上)は、ウズベキスタン共和国のガズリ天然ガス田近くで起きている。

ロシアの研究チームが行なった大規模な分析によると、「炭化水素の採取と地震活動との関連性についてはほとんど疑いの余地はないが、厳密にどの程度関連があるかはまだわかっていない。」研究チームは、地殻活動がすでに活発な地域では、原油や天然ガスの採取が強い地震の引き金になる可能性があると警告する。

・世界最大規模の建築物

ある地質学者が2005年、当時世界一の高層ビルだった「台北101」(地上101階、地下5階、高さ508メートルの台北国際金融センター)について、重量70万トン超のこの建築物が、これまで長期間活動を休止していた台湾の断層に地震を起こさせたと主張した。

クローゼはこれには懐疑的だが、建築物が地震の原因になる可能性はゼロではないと述べる。だがそのためには目下建設中の世界一の高層ビル「ブルジュ・ドバイ」をはるかにしのぐ必要がある。

ひょっとすると、「地殻戦争」などというのもありかもしれない。世界一重量のある建物をカリフォルニアの荒野にでもこっそり建設して、ゆっくりと、だが確実にカリフォルニアの危険な断層に負荷をかけていくのだ。

(WIRED SCIENCE 04 June 2008)

写真はアメリカのフーバーダムと、その規模5キロ×7キロメートルのドイツのエルスドルフ炭鉱、いずれもWIRED SCIENCEより

ペルーの銅山まるごと購入


うまくいった!と米国がこれをイラクにあてはめようとしている地位協定の模範は日本のこういう態度なのだ。よくブッシュはせせら笑いを浮かべて言う。かつての敵国(いまでいう悪の枢軸)日本をみてごらん。きっとイラクもうまくいく。でも、イラクはこうはちょろくない。以下、ニュースからーー。

◇1956年合意 日本に裁判権なし
日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、日米両政府が1956年の合同委員会で地位協定に基づき日本側に第一次裁判権がないとされる「公務中」の範囲を通勤や職場での飲酒にまで拡大し、米側に有利な運用で合意したことが、機密解除された米側公文書などでわかった。在日米軍関係者によると、合意内容は現在も適用されているという。
地位協定は公務中の米兵犯罪について米側が第一次裁判権を有すると規定しているが公務の範囲を明記せず、これまで合意内容は明らかにされていなかった。米側が合意後「有利に処理することに成功した」と評価していたことも判明した。
文書は日米関係史を研究する専門家の新原昭治氏が、米国立公文書館などで見つけた。
在日米大使館が1970年2月28日、当時フィリピン政府と地位協定締結に向け協議していた現地の米大使館にあてた「日米地位協定」と題した公電は、54年から55年にかけて兵庫県や福岡県などで日本人計4人が死傷した米兵らによる4件の交通事故に言及。
4件はいずれも帰宅途中などで公務中に当たるかどうかをめぐって日米で議論になり、56年3月の合同委で宿舎、住居と勤務地の往復や宿舎や勤務地で開かれる「公の催事」での飲酒も公務に含めると合意した。
分科委員会で日本側は公の催事を狭く解釈するべきだとしながら、将校らが出席していれば公務と認め、事故原因とみなされなければ勤務中の飲酒も公務とすることに同意。通勤途中の「寄り道」を公務に含めるかどうかも「ケースごとに考究する」とした。
その後、4件は公務中の事故として処理された。公務の範囲は、ほかの事件でも同様に解釈されているという。
・日米合同委議事録要旨
米兵らによる交通事故の事件処理をめぐり、法務省幹部らと在日米軍幹部らが参加し1955年11月21日に開催された日米合同委員会刑事裁判権分科委員会の公式議事録要旨は次の通り。
米側:飲酒という用語は公の催事以外の場所で飲酒することを指すものと解釈する。軍隊の構成員らが勤務中に飲酒したとしても、必ずしも公務の性格を失うものではない。勤務地と宿舎の往復の間に事故を起こし、その際の飲酒が判断力を失わせる程度であった場合は公務外となる。
日本側:然り。公の催事は狭く解釈されるべきだ。数名が飲酒目的で集合しても該当しないが、社交上の慣行により、一定の将校または軍属の出席が要求される場合には、公務と認めることにやぶさかでない。
米側:寄り道も公務として許されると考える。ガソリンスタンドやクリーニング工場に立ち寄る場合はどうか。慣習および慣行が考慮されるべきだ。
日本側:住居と勤務地の往復のみに限定して考えるべきで、いかなる寄り道も認めたくない。しかし、個々のケースごとに考究することに同意する。
(東京新聞 2008年6月16日)

◇地位協定秘密合意 国民を欺くに等しい行為
今回公文書によって明らかになった合意内容は現在も適用されているという。なるほど、米兵犯罪多発の状況が改善されないのも当然である。
公務中か否かというより、今回の問題は日本の裁判権が及ぶか否かと考え直した方が分かりやすい。米側が「職場での飲酒」まで公務中の範囲としたのは、当然ながら日本の立場に配慮したものではない。いかに自国軍に利することができるか腐心した結果である。
対する日本は、強い抵抗も示さず玉虫色の拡大解釈に同意してしまう。そこに国民に対する配慮はない。見えてくるのは、地位協定の運用を第一とした妥協である。
2005年に東京都八王子市で、小学生ら3人のひき逃げ事件が発生した。逮捕された米兵は「公務中」とされ即日、釈放された。
米側は公文書で、合意後に起きた事件について「公務の内容に関する日本側からの照会が数件あったものの、すべての案件が米側に有利に処理された」とまで示している。
現在、噴出している地位協定の問題は、その不平等性に起因している。これほど米側に配慮された協定であるからこそ、日本国民の不利な状況が際だつのだ。
米兵の犯罪が相次ぎ、日米両政府とも犯罪を根絶する具体策を検討しているように見える。しかし、その背後には、日本側の裁判権の放棄ともいえる秘密の合意事項が隠されていた。要するに、日米両政府の姿勢はポーズにすぎなかったのだ。
真剣に根絶策を検討するのならば、特に日本政府は、このような合意をやり玉に挙げ、米側に破棄を求めるべきである。
ところが日本政府は、米国に対する柔軟な姿勢とは対照的に、地位協定の抜本改定を求める県民らに譲歩する様子は見られず、「地位協定は運用改善で」という方針を決して崩さない。
日米両国の間で、日本国民、とりわけ米軍基地の集中する県民は犠牲を強いられている。米側の恣意(しい)的な裁判権運用を認める日本政府は、その姿勢を改め、地位協定の抜本的な改定を強く主張するべきである。欺かれたと感じている国民の信頼を取り戻すには、米国に対して毅然(きぜん)とした態度を示すしかない。
(琉球新報 2008年6月17日の記事より抜粋)

写真は、BBC NEWSのトップ記事、イスラエルとハマスが「停戦協定」ーーより
「いつものガザへの急襲をイスラエルが行う」
もうひとつ中国がペルーの銅山をまるごと買ったというヴィデオもUPされていました。周辺の貧しい部落のインディオたちがなぜ出て行かなくちゃならないのか当惑しています。アフリカ同様、他のペルー南部の山岳地帯でも中国人によるもうれつな開発事業が進められているのがわかります。

2008/06/16

死があまりにも早すぎる、父の日


◇イスラエル、また入植地の住宅増設へ 米国務長官は批判
イスラエル政府は14日、同国が占領している東エルサレムの郊外にあるユダヤ人入植地での住宅増設を発表した。将来のパレスチナ独立国家の土地を奪う政策だけに、イスラエルとパレスチナを訪問したライス米国務長官は15日、「(パレスチナ国家を目指す)和平交渉に悪影響を与えている」と批判した。
今回増設が認められたのは約1300戸。昨年11月に米国の仲介で約7年ぶりに再開された和平交渉では、入植活動の凍結が約束されたが、イスラエルは相次いで無視。交渉行き詰まりの原因の一つになっていた。
(朝日新聞2008年6月15日)

◇イスラエルが一帯に建設予定の家屋は3000棟を上回った。しかしパレスチナ自治政府は、将来樹立する独立国家の首都を東エルサレムに定める方針。
ライス長官は、アフガニスタン支援国会議の開催地パリからテルアビブに移動する途中の機内で、「以前も指摘した通り、今は信頼構築の時だ。住宅建設は信頼作りに役立たない」と語った。ライス長官はイスラエル指導者や当局者との会談で、この問題が協議されると予想している。
ライス長官は今週エルサレムとパレスチナ自治区ラマラを訪問し、パレスチナ国家樹立に向けて米国が支援している中東和平プロセスの進ちょくについて、イスラエルとパレスチナの指導者らと会談する予定。
イスラエルは米国が2003年に提示した中東和平の行程表(ロードマップ)で、領有権問題が発生している場所に入植しないことで合意済み。しかしイスラエルは、新規の入植地がすでに併合した土地にあり、合意違反ではないと主張している。
(CNN 2008年6月15日)

◇ブッシュ政権にとっていましめとなる、グアンタナモの捕虜たちが米国の法廷で監禁に異議を申し立てることができると司法は裁定
ブッシュ政権にとってヒリヒリする一撃、米最高裁はグアンタナモベイの捕虜たちが民間の連邦裁判所で彼らの拘束に異議を申し立てることができると裁定している。この裁定は、グアンタナモの捕虜たちの権利にまつわり最高裁がブッシュ政権に逆らって裁定するのが4年で3度目なのをはっきり特徴づけた。
(デモクラシーナウ!6月13日ヘッドライン)

◇ブッシュ:米国とイラク間の盟約に関する批判は「やかましい議論」
イラクに米軍を駐留させることで提案された協定への反対をブッシュ大統領は簡単に片付けている。詳細が先週から明らかになっているイラクと米国の議員から批判が昂じている。ブッシュ政権は永久にイラクに50以上の米軍基地を確保することを求めている。また、イラク政府との協議なしに軍事キャンペーンを続けることやアメリカ人兵士と請負人のための免責についても主張している。水曜、ドイツで話をするブッシュ大統領は、イラクと米国の議員から持ち上がる批判を「彼らのシステムとわれわれのシステムにおけるやかましい議論(ノイズ)」と呼んだ。条件が誤解されてきており、協定されると確信しているとブッシュは言った。
ブッシュ大統領:「イラクの教訓のひとつは、民主主義の進展のために整えるか、経済を発展させるのが目的で、セキュリティの立法措置がなくてはならない、それがいま生じている。従って、協定は調印されるだろうと考える。」

◇マケイン:米国のイラク占領の長さは「重要でない」
その間に、共和党大統領候補者ジョン・マケインもまたイラクの長期占領計画の批判を簡単に片付けている。水曜、NBCの番組Today Showで話をするマケインは、いつ米軍がイラクから帰還することになると思うか尋ねられて、こう返答した。「それはそれほど重要ではありません。重要なのはイラクでの犠牲者だ。アメリカ人は韓国にいる、アメリカ人は日本にいる、アメリカの軍隊はドイツにいる。どこも申し分ない。」

◇ブッシュがイランをおびやかすと、イタリアで数万人が抗議
ドイツに戻ると、ブッシュ大統領はまたイランに向けて、核の具体的活動に関してイランが米国の要求を守らないなら軍隊を行使するとの彼の積年のおどしを繰り返す。
ブッシュ大統領:「すべての選択が検討中だと私は話した。そして私の最初の選択は外交的に解決するというもので、外交的に解決するための最良の方法はわれわれのパートナーと共にやってのけることだ。その通りのことをわれわれは行っている。そして孤立するよりも前進するよい方法があり、それはウラニウム濃縮計画を証明できるように停止することだとの、イラン政府へのメッセージは非常に明白だ。」
イランは核計画と大まかな協定について交渉することを申し出ているが、米国はイランは前提条件として核の具体的な活動を停止しなければならないと断固主張する。ブッシュ大統領はドイツからイタリアに向かった。そこで彼は数万人の人々の抗議に直面する。水曜、デモ参加者らはブッシュの訪問に抗議するためローマで大規模な大会を開始した。
抗議者:「イタリア政府とイタリア人全世界がブッシュの政策と戦争の政治を支持しないと、私たちはブッシュに示したい。」
抗議者:「ブッシュに抗議するため私はここに来た。選挙で選ばれて以降、ずっと彼はアメリカ国民にとって売国奴(裏切り者)だと思う。」
今日もイタリアで抗議行動は続いている。
(デモクラシーナウ!6月12日ヘッドライン)

写真は、イラクにも父親はいて、違いは家族、特に子どもたちを守るために計り知れないほど苦労しているということ。また子どもにとって、イラクの父親はあまりにもすぐに死んでしまう存在だった。これは「イラクの父の日」のメッセージです。