見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2008/01/12

ドルが死ぬ日


今朝は怖いニュースが眼に飛び込んできました。アルジャジーラ放送のピープルパワーという番組のヴィデオなんですが、アメリカのエコノミスト、ポール・クレイグ・ロバーツなども昨年から言ってることで、アメリカの「ドルが死ぬ」日が近づいているということです。
多国籍企業がUSドルで受け取りたくないと言って、ユーロ取引しかしなくなっている話は聞いていました。いよいよ来るかなー。

◇人が群がるチェックポイントでブラックウオーターの社員が毒素を投下
傭兵請負業・民間軍事会社ブラックウオーターワールドワイドがまた新たなイラクでの非合法的な活動の申し立てに直面している。今回は2005年5月にバグダッドの人が押し寄せるチェックポイントにきびしく制限された暴動鎮圧用ガスを投下したというのだ。ニューヨークタイムズ紙によると、ブラックウオーターのヘリコプターと装甲車からのCSガスの投下(発射)は、運転者や歩行者、チェックポイントで任務についていた少なくとも米兵10人を一時的にめくらにした。ブラックウオーター社はすでに昨年9月に17人のイラク民間人を殺害したバグダッドの大量狙撃で監視下にある。ブラックウオーター社の人員は彼らのルートをふさいでいた交通渋滞を取り除くための手段としてガスを放ったようだと軍の目撃者は言う。ガスは危険な情況においてのみ使用権限が認可されている。ガスには、やけて目やにが出る、皮膚炎症、咳と呼吸困難、悪心、嘔吐などを含める作用がある。ブラックウオーター社は、米大使館にこのことを報告した、そして事件は調査されたと述べる。だが、米当局は調査が行われたのを確認できなかった。
(デモクラシーナウ1月10日ヘッドライン)

◇CSガスは、法律で強制された戦闘地帯にいる軍隊によって使用される最も通常の催涙ガスのひとつだ。
神経ガスといったもっと有毒な物質での報復に輪どめ役ができるとして、戦争でのCSガスの使用は1993年に調印された1997年化学兵器協定によって禁じられている。「1975年の大統領令が、防衛的な情況に限定した戦争地帯において米軍にこれの使用を許す、ただし大統領または大統領によって指名された上級士官による認可を有する。」とタイムズ誌は注をつける。
ヘリから投下されたCSガスは10人ほどの米兵と数人のイラク人の足下とクルマの中で破裂した。
「催涙ガスによく似たその化学薬品にさらされて医療処置を要求したアメリカ兵はいない、イラク人がさらされたかどうかは明らかでない」とジェームズ・リーザンはニューヨークタイムズ紙に書く。
「これは議論の余地なくぶざまで、ひじょーに危険」だと、現場の上級士官キンシー・クラーク大尉が後に書いたとジェームズ・リーザンは言った。
しかしながらブラックウオーターのスポークスマンはガスの投下は誤りだった、そして国防省がすでに事件を調査したと主張。イラクの軍当局に報告書を提出したとはいえ、ワシントンはそれを確認できなかった。
(therawstory 10 January 2008 by John Byrne)

写真はブラックウオーター社のヘリ

2008/01/11

ケニアの試練


大統領選の結果をめぐり、ムワイ・キバキ大統領とライラ・オディンガ氏ら野党勢力との間で暴動が続くケニアで1月10日、アフリカ連合主導による仲裁協議が不調に終わった。今後、キバキ大統領とオディンガ氏はコフィ・アナン前国連事務総長と協力して問題解決にあたっていくことで合意、暴力や事態沈静化を阻害する可能性のある行動は即時中止することで合意が得られた。(AFP 通信)
ところで野党勢力を率いるライラ・オディンガは「Change」旋風を巻き起こしたアメリカのバラク・オバマと親戚なんだそうだよ。ということは、チェイニー副大統領とも(8世代さかのぼる)遠縁にあたるということだ。

◇ケニアのナイロビで記者会見する野党指導者のライラ・オディンガ氏は英BBCラジオとのインタビューで、米大統領選の民主党有力候補であるオバマ上院議員とは親せき関係にあると語った。(時事通信1月8日)

◇大統領選の結果をめぐり国内に暴動が広がるケニアに対し、国際社会は2日、危機的状況の打開に向け外交努力を加速させた。選挙後の暴動は部族間抗争に発展する様相を見せつつあり、これまでに数百人が殺害されたほか、数万人が国内外への避難を余儀なくされている。
・内戦状態への移行を懸念
ケニア大統領選では接戦の末、現職キバキ大統領が勝利し、12月30日に宣誓したが、これに反発して全国に暴動が拡大。その多くは部族間の対立に基づき、敗れた野党候補オディンガ氏は、キバキ大統領に「選挙は盗まれた」と主張している。
キバキ大統領は同国最大部族キクユに属する一方、オディンガ氏は2番目に大きいルオの出身。選挙後の暴動は明らかに部族間の様相を呈し始め、報復攻撃や標的が絞られた放火などにより、さらなる部族間抗争へ発展する可能性が懸念されている。
「殺害を犯した者を逮捕するなどの措置が緊急に取られない限り、ケニア情勢は混迷を深め、想像を絶する規模の虐殺が起こったアフリカ諸国と同様の内戦状態になりかねない」と、2日付の日刊紙「デイリーネーション」は警鐘を鳴らした。
国内の医療関係者、警察関係者、遺体安置所職員などの話からAFPが独自に集計した統計によると、選挙投票日から現時点までの死者は316人に上る。中でもオディンガ候補が広い支持を集めた西ケニアにおける暴動が最も激しい。
・殺害を恐れ隣国ウガンダへ
隣国ウガンダ当局の報告によると、ケニアからキクユ族の住民数百人が、オディンガ候補に忠誠を誓う暴徒たちによる殺害を恐れ、国境を越え避難してきているという。
紛争や武力衝突の多いアフリカの周辺地域の中で、ケニアは一般的に民主主義の旗手とみなされ、安定している国。今回の暴動のレベルは異常事態といえる。
首都ナイロビ中心部では1週間の混乱からようやく通常に近い状態を取り戻している。スーパーやガソリンスタンドには長蛇の列ができ、人々は仕事に戻り始めた。
(AFP 通信1月3日)

◇多民族が混乱抑制要因か
2003ー2006年、駐ケニア米大使を務めたマーク・ベラミー氏は「ケニアの民族構成の特徴は多様性。ルワンダやブルンジとは異なる」と指摘する。
1990年代に民族紛争から数十万人が犠牲となったルワンダとブルンジは主にフツ族とツチ族から成るが、ケニアでは少なくとも42の部族が存在している。
不正操作の疑惑を持たれながらも前週再選を果たしたキバキ大統領は、キクユ族の出身。ケニアでは最近、キクユが政財界を支配してきた。
キクユは、人口3700万人のケニアにおける最大民族であるが、全人口の22%を占めるにとどまっている。これは、ほかの民族を差し置いて完全に支配できる民族はないことを意味する。
・政治家らの資金源は国内に
ケニアの弁護士で政治評論家のジョン・オティエノ氏は「皆が民族間の争いとみているが、そうではない。絶対権力を有する政府は存在しないという事実を含めた、国民の権利を実現している社会の問題なのだ」と強調する。
ケニアの政治学者マリ・ムツア氏は、野党を率いるオディンガ氏は近く政策を転換すると予測。「死者が増加することで、オディンガ氏は孤立し、国民が彼を英雄とみなすことができるような方法で、混乱を解決しようとするのでは」という見方を示している。
またほかの専門家は、ケニアには政治家たちが外に向かって「ふていな冒険」に打って出られない障壁があるという。それは「政治家たちの利害関係が国内にあって海外にない」という点だと指摘。
ある駐ナイロビ外交官は「ケニアの有力者らは国内に資金を有しており、それが、同国を崩壊させない理由だ」と解説する。
(AFP 通信1月4日)

◇オディンガ氏は7日、国際社会の仲裁活動が本格化してきたことを受け、同国全土で行われていた抗議活動を中止すると発表した。事態の鎮静化に向けキバキ大統領側から直接会談の提案が出されるなか、前年12月27日以来続いている暴動の死者数は600人以上に達している。
また、オディンガ氏は、アフリカ連合主導による仲裁協議が9日に開始されることも明らかにした。これに関し、ガーナのジョン・クフォー大統領の側近も、AU議長と同大統領が9日に仲裁のためケニア入りすることを明らかにしている。
さらに、ケニアの大統領報道官は7日、キバキ大統領が大統領選挙後初めてとなる直接会談を行うためオディンガ氏を招請したとする声明を発表した。会談は、ほかの5つの党の指導者も参加して11日午後2時30分に行われる予定で、事態の沈静化や国民融和について話し合われるという。
国連機関からは集団虐殺の様相を呈しているとの声もあがっている。また、これまでに約25万人が避難を余儀なくされているという。
(AFP 通信1月8日)

◇ケニアの港町モンバサでは7日、略奪者らが略奪品を返したり捨てたりするケースが相次いでいる。警察当局によると、略奪品に「呪いがかけられた」とのうわさが広がり、略奪者らが恐怖にかられたからだという。
うわさは、略奪の被害者たちが「盗人に罰が下るよう」呪術師に呪いをかけさせたというもの。警察もこのうわさを確認しており、「呪術師のおかげで略奪者を摘発しやすくなった」と語っているという。
モンバサの住民は、アフリカの多くの共同体と同じく、呪術師の力に絶大な信頼を寄せており、呪術師には悪霊を呼んだり退散させたりする魔力があると信じている。
TVのニュースでは、略奪者らが青ざめた表情でベッドやソファなどを所有者に返す様子が映し出されている。(AFP 通信1月8日)

◇エルドレット(ケニア西部リフトバレー州):大統領選を巡って混乱するケニアで暴動被害が最も深刻な西部リフトバレー州に7日入った。襲撃対象となったキバキ大統領の出身民族キクユの住民や地元の人権団体職員は、同州内での襲撃について、対立する地元のカレンジンの村々の首長らが選挙の混乱に乗じ実行した組織的犯行だったと証言した。民族対立は泥沼化している。
同州には元々、カレンジンが住んでいたが、政府が70年代にキクユの集団入植を進め、現在は混住する。両者は土地所有などを巡って以前から対立し、大統領選ではキクユがキバキ氏、カレンジンが野党「オレンジ民主連合」のオディンガ氏を支持して緊張が高まっていた。
エルドレット近郊のシレット村には選挙結果発表(30日)の翌日午後1時ごろ、近隣の村々のカレンジンの若い男約200人が押しかけ、キクユの家々に放火した。同村のキクユの小学校副校長、ピーター・カグタさん(45)宅にも男たちが来たが、中にかつての教え子がいた。
カグタさんによると、教え子は「村長らが出席した会合でキクユを襲うことが決まり、動員された」と告白し、襲撃対象のキクユの名が書かれた紙を見せた。カグタさんの名もあったが、教え子は「先生を殺すことはできない。早く逃げて下さい」と言い、立ち去ったという。カグタさんは「暴動は周到に準備された」と言う。
エルドレット近郊のキアンバ村では1日、キリスト教会が放火され、避難していたキクユ約30人が殺害された。現場にいた地元の人権団体「RPP」職員、ヘンリー・マイヨさん(39)は、放火の様子をノートに克明に記録していた。
記録によると、キアンバ村に隣接するカレンジンの村から他の村々へ「集合」するよう伝令が走り、カレンジン数百人が教会前に集まった。リーダー格の男が「教会を焼く」と宣言し、何人かは放火に反対し教会内のキクユの子供を外へ逃がそうとしたが、そのまま火は放たれた。
カレンジンのマイヨさんは「カレンジン有力者の中には入植者のキクユを追い出したいと考える人がおり、大統領の不正選挙でキクユの立場が弱まるのを狙って襲った。でも、なぜ子供まで」と目頭を押さえた。
(毎日新聞1月9日)

◇ケニアは1991年、1党独裁から複数政党制に移行。92年、民主化をめぐる対立が表面化し、カレンジンと他民族の衝突が激化し、93年にはリフトバレー州では約1000人が死亡、25万人が家を失った。
ケニアはサファリ観光で世界的に人気が高く、安定した国と見られている一方、42民族の混在という火種を抱える。今回は大統領選が原因だが、貧富の差やはびこる汚職で人々は不満を抱えており、爆発のきっかけは何でもなりうる。背後で政治家が金銭で対立をあおっているとも言われる。
エルドレトからナイロビに向かう幹線道路は数キロにわたり、町の主流派種族カレンジンが石や電柱で封鎖。男性が通行者の身分証明書を確認し、キクユ族を捜していた。
沿道では、全焼した白いワゴン車の横に黒い物体が二つ見えた。近付くと、男性2人の遺体だと分かった。すぐに百数十人の男らが、ナタやこん棒を手に集まってきた。
男らによると、ワゴン車は救急車。31日、「遺体を運搬中」と言って通ろうとしたが車内に遺体はなく、運転手らはキクユ族だった。約50人が2人を殺害し、ガソリンで燃やしたという。
大統領選をめぐる対立は解決の見通しが見えない。内外からの説得工作はあるが、キバキ、オディンガ両氏とも様子見を続けている状態だ。避難民キャンプでも居場所が民族ごとに分けられ、聞こえてくるのは互いの悪口ばかりだ。

写真は石で封鎖をするエルドレトからナイロビに向かう幹線道路

2008/01/10

21世紀の国家のかたち



国連暫定統治下にあるセルビア・コソボ自治州の議会(定数120)は1月9日、昨年11月の議会選挙で第1党になったコソボ民主党(37議席)のハシム・サチ党首(39)を首班とする新内閣を賛成85票で承認、新内閣が発足した。
サチ新首相は議会で演説し「今年の早い段階でコソボを独立国家とする準備を進めている」と述べ、欧米の支持の下で「われわれの夢と権利を間もなく実現する」と訴えた。
ロイター通信によるとサチ新首相は議会終了後、記者団に「数週間以内に独立を宣言する」などと述べた。
(中日新聞2008年1月10日)
以下はBPnetの経営コンサルタント 大前 研一のコラムから抜粋ーー。

◇コソボに見る21世紀の国家の形 by大前 研一(2008年1月9日)
2007年12月中旬、欧州のEU外相理事会でコソボ問題が話し合われた。コソボ問題とは、言うまでもなくセルビアにあるコソボ自治州独立の問題だ。EUの多くの国では、コソボ自治州を独立させてやろうという考えである。
英国、ドイツ、フランス、イタリアなどは、「交渉は行き詰まった」と言い、EU単独でも独立容認を検討する考えでいる。
それに対して、もう一方の当事者であるセルビアは、当然ながら独立には反対で、「戦争も辞さず」という姿勢を崩していない。ロシアもまた、独立に反対の立場である。
バルカン半島に位置するセルビアは、むかしはユーゴスラビアと呼ばれていた。
ユーゴスラビアでは、多くの民族や宗教が混在していた。そのため共和国ごと、地域ごとにいろいろな顔を持っていて、国内の紛争も絶えなかった。その結果、 90年代に入ってから独立が相次ぐ。91年スロベニア、93年マケドニア、95年クロアチア、同じく95年ボスニア・ヘルツェゴビナ、06年モンテネグロという具合で、残されたセルビアも独立宣言をし、現在に至っている。つまり、現状でさえも旧ユーゴスラビアから7つの独立国が誕生した状態ではあるが、そのほかにコソボも独立させてしまおう、というのがEUの考え方である。
・スロベニアの成功が刺激に
なぜこんなことができるかというと、大きく分けて二つの理由がある。一つはスロベニアの独立が成功したことである。人口200万人しかいないスロベニア(首都リュブリャナ)は独立したあとにハイパーインフレなどの苦渋を味わったが、ユーゴ北部の工業地帯でもあったために貿易は黒字に転じ、経済政策もしっかりしたものになって、いち早くEUに加盟し、続いて通貨もユーロに切り替えてしまった。いまでは新興EU加盟国の優等生といわれている。
つまり、もしEUに入れる可能性があるなら、そして「やがてはユーロ」ということになるのであれば、国の大きさは関係ない。ルクセンブルグなどは人口も46万人と小さいが、EUの有力メンバーである。また今ではEUのほかにもEEA(欧州経済領域)というものがあり、アイスランド(人口30万人)やリヒテンシュタインなどはEUに入ることは拒否しているが、経済的にはいろいろと互恵関係を結ぶということも可能になってきている。特に人口3万4000人しかいないリヒテンシュタインはスイスの拒否しているEEAには加盟しながら、通貨はスイスフランである。
だから、むかしのように一定の大きさでないと国が経営できないという観念、そして最大公約数を取ることに伴うさまざまな(人種的、宗教的、政治的)妥協などするくらいだったら、まとまりのいい小単位で独立し、経済政策を充実させて外資を呼び込み、その勢いでEUに加盟しようというゴール(着地点)が見えるのである。これが一種の安堵感となり、いまこうした小国が煩わしい歴史的きづなを断って独立、という選択肢につながっているのである。
新しいEU加盟国であるブルガリアやルーマニアを見ていても世界中からカネが流れ込み、いまでは不動産を筆頭に相当なバブル経済となっている。これらの国は賃金が月300~500ドルくらいのレベルであるから、裕福なEUメンバーの10分の1以下である。にもかかわらず、ソフィアやブカレストには1億円のマンションが次々に建てられている。ブルガリアはこの1月1日から所得税を10%のフラットタックスにしてしまった。多くの旧共産圏諸国(ロシア、バルト3国、カザフスタンなど)がそうであるように、フラットタックスにすると地下経済が地上に出てくるし、金持ちには多くの可処分所得が残り消費・景気が盛り上がる。
クロアチアはその風光明媚な海岸と情緒溢れる都市(ドブロブニク、スプリット、シュベニック、オパチア、ロブニなど)から欧州でも有数の観光地になってきているし、英国人などの老後の住まいとしても古い家屋が飛ぶように売れている。その南隣のモンテネグロも独立するやいなやロシアからの投資が殺到し、いまではリゾート開発などをロシアの金持ち企業が行う、という盛況である。
同じことは伝統的にロシアの金持ちが資金隠しに使ってきたキプロスでも起きている。キプロスはかって1974年にトルコとギリシャの支配する地域が互いに母国を巻き込んで戦争をし、84年には北キプロス・トルコ共和国が宣言されるなど紛争の絶えない地域であったが、今では74万人の人口の85%を占める南部のギリシャ語地区はEUのメンバーとなり、今年1月1日からマルタとともにユーロ通貨に参加した。観光、経済ともに好調である。
・独立しても差し障りはない
コソボがなぜ今独立か、という問題を考えるときに、伝統的なセルビアとの問題、宗教対立、などの延長で考えるよりも、EUという大きな機構が経済的なセーフティネットとして機能し始めている、と考えることが重要である。小国であっても「独立して経営していける」という事例が次々に周辺諸国、しかも、ひとむかし前の連邦形成国、あるいは紛争地で実証されていることが大きい。
ちなみにコソボはこうした小国の一つではあるが、人口は200万人くらいになると推計されており(独立を恐れるセルビアが正確な統計データを公表していないため推計しか分からない)、そのうち90%がアルバニア系であるといわれている。セルビア政府の統計では66%ということであるが、これは今から40年くらい前の数字であるといわれている。コソボの独立運動をしてきた人々は、独立後に隣のアルバニア(人口300万人)と合体してアドリア海へのアクセスを確保し、人口500万人というバルカンでは大国として生きていこう、と考えている人も少なくない。
旧ユーゴの連邦を形成していた共和国や自治州がなぜ独立を指向するのか、という理由の2番目は、「独立したい」という必要条件ではなく、独立してもあまり差し障りがないという十分条件側である。
・ボーダレス化と世界の余剰資金
一方、もともと経済植民地みたいな所は地場企業もないので、外資に積極的に入ってきてもらい自由気ままにやってもらうという、まさに規制緩和を超えた、規制撤廃、という大胆な政策がとれるということである。
モンテネグロ、マケドニア、そして(独立すれば)コソボもそうした政策を推し進めるであろう。コソボは欧州では数少ないイスラム圏となるはずであるから、中近東のオイルマネー、イスラム金融を狙った政策を次々と打ち出すであろう。EUに入ればトルコのEU加盟の試金石ともなる。
ロシアがコソボ独立に反対する理由はまさにこうした小国の独立が自分たちの抱えるチェチェンや南オセチアの問題と二重写しになるからである。ましてやコソボの独立が成功したら、ロシアのイスラム地域を勢い付かせる、との危惧があるのは想像に難くない。またルーマニアやブルガリアのような貧しい旧共産国がEUメンバーとして生まれ変われば、ベラルーシ、(西部)ウクライナ、グルジアでもEU加盟の動きが加速するであろう。
そうしたさまざまな国のさまざまな思いが錯綜するのがまさに欧州の火薬庫と呼ばれたバルカンである。しかし第一次世界大戦のころと決定的に違っているのは、国民国家という概念が薄くなり、経済はボーダレス化したことである。紛争で疲弊したところにひとたび平和が訪れると世界中から一斉にカネが流れ込むという新しい状況である。第二次大戦後の復興には米国のガリオワ・エロアという資金の流れが必要だった。いまは凹んだところを虎視眈々と狙っている余剰資金が世界中に6000兆円もある。コソボ=平和=独立=新しい制度設計、という情報だけでグローバルな資金は流れ込むのである。その大きな安全装置がEUやユーロである。
・人々が求めるものと新しい国家の形
この新しい流れに、アジアや米国はいまだ気づいていない。19世紀的な国民国家の概念や、自由と民主主義という理念で他国を支配することはできない。
結局人々が求めているのは「豊かな生活+安全+安心」である。コソボのアルバニア人が見ているのは10年前の紛争当時とは様変わりで、民族の自立とかセルビアの呪縛からの解放、ましてやイスラムの大義、などではない。旧ユーゴスラビアの共和国が次々と調子よくグローバル経済に飛び込んでゆく。新しく作られた税制や国家運営のシステムが面白いように受け容れられ、世界から企業や資金が押し寄せる。その先にはEUへの加盟、ユーロ通貨の採用、などが見えている。現にスロベニアはそうなったし、クロアチアやモンテネグロもEU加盟の審査過程に入っている。
つまり、今回のコソボ独立の背景にあるのは民族自立という表だった理由よりも「グローバル経済の恩恵を受けたいという願望」ではないか、というのがわたしの観察である。
そうなると、国家という19世紀の概念にしがみついているセルビアやロシア、つまりコソボ独立反対派は何をしているのか、ということになる。彼らもまたEUに負けない新しい概念を提供して勝負しない限り、カネと労力の浪費を続けるだけ、というわたしの予想もまた同時に付け加えておきたい。

写真は、嘆きのイラク人母の姿。WHO世界保健機関は1月9日、2003年3月のイラク戦争開戦後のイラク人の死者数が2006年6月までに、15万1000人に上ったとの推計を発表した。
ただしCNNでは見られないニュースを集めた独立系メディアICHの報告によれば、米軍のイラク侵略以降イラク人犠牲者の数は116万4650人、米軍の死者数は3921人となっている。
次の写真はニューハンプシャー州予備選で勝ったヒラリー。「劇的なカムバック」(CNN TV)などと、米メディアは、ニューハンプシャー州予備選を制し、起死回生の勝利をつかんだ民主党のクリントンと共和党のマケイン両上院議員の勝因分析に躍起になっている。
ワシントンポスト紙は、「ヒラリー・クリントンの勝利は民主党の争いがこの先も驚きに満ちていることを思い知らせた」と指摘。クリントン氏が支持者の前で涙を浮かべた瞬間を「キャンペーンの最後の数時間に繰り返し放映され、候補者がめったに見せなかった一面を露呈させた」と述べたほか、ウォールストリートジャーナル紙も冷徹な印象の彼女を「人間らしく見せた」と、クリントン氏の「涙」に注目した。
今後、15日のミシガン州、19日ネバダ州、26日サウスカロライナ州、29日フロリダ州の各予備選をへて、2月5日のメガチューズデーまで熱い選挙戦が繰り広げられそうだ。

2008/01/08

スウェーデンする


スウェーデンしよう!
キャーっ、おもしろそう!日本では観客層を間違えた宣伝の仕方でコケたと言われている前作「恋愛睡眠のすすめ(個人的には「セロファンはアナーキー」)」もわたしは好きでした、ミッシェル・ゴンドリー監督。新作はやってくれたぜ!「Be Kind Rewind:どうぞ巻き戻してちょーだい」 米国では公開前にもかかわらず、「Sweding:スウェーデンしよう」が大流行なんだって。えっ、チープにそのへんのものを使ってローテクで映画を作り直すことです。
とにかく公式サイトから予告編をごらんください。
きっとあなたも「スウェーデンしたく」なりますよ。
http://www.bekindmovie.com/
監督&脚本:ミシェル・ゴンドリー(代表作:エターナルサンシャイン)
出演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローバー、ミア・ファロー
2008年1月28日全米公開の予定(日本公開は決まってます、ホッ)

◇ニュージャージの貧乏な町に古くてダサいレンタルビデオ屋があった。ビデオしか置いてないそこはDVDプレーヤーが買えない貧乏人やローテクなじいさん&ばあさんに重宝がられていた。店の常連のジャック・ブラックが高圧電線に触れて強烈な磁気を帯びることになり、店のテープを全部消去してしまう。
そこに常連のミア・ファローばあちゃんがやって来て、「ゴーストバスターズ」って映画はあるかと聞く。
困ったモス・デフ店長、わかるもんか、「自分で作っちゃえ!」と思いつく。
そしてジャック・ブラックや近所のアホ連中とこんな感じだったよなーというノリで「ゴーストバスターズ」をビデオで撮り始める。アルミホイルや本物のマシュマロ、段ボール、光線は糸のモールと、すべてがローテクだ。
ミア・ファローばあちゃんの甥っ子、ストリートギャングの悪ガキどもが店にやってきて、例の自前の「ゴーストバスターズ」をカウンターにたたきつける。
ウソがばれて殺される!と思ったモス・デフ 思わずしどろもどろで言い訳するジャック・ブラック
これが違って見えるのは、「あのー、えーと、スウェーデン製なんです。そう、スウェーデンからの逆輸入なんです」
「おもしろいじゃん。他にスウェーデン製ある?」
ナベをかぶった「ロボコップ」、「2001年宇宙への旅」、「ボーイズンザフード」、段ボールの「ライオンキング」に「キングコング」と、リクエストに応えて彼らは制作費数ドルの世界で「スウェーデン製」を作り、大当たりすることに! 

アメリカでは公開前なのに「金をかけないでガラクタや段ボールで何かを作ること」を「Sweding:スウェーデンする」と呼び始め、すでにYouTubeには「スウェーデンする」映画が登場しているという話だ。おもしろい!

2008/01/07

下水汚物と闘うコーンウォールのサーファー



今朝BSで、「下水と闘うサーファーたち〜イギリス コーンウォール」という番組を偶然目にした。
びっくりしたのはイギリスでは1980年代まで家庭や工場の下水がほとんど未処理のまま海に流されていたという事実。この海の環境保護と闘うサーファーの団体SASを率いるリチャード・ハーディは下水による海水汚染のせいで皮膚の病気や耳、鼻、喉の病気に悩まされるサーファーの一人だった。
うちの近所のサーファーショップの店長が中心となって、ここでもサーファー仲間が、海岸の清掃からムダにあいた浜辺の一角に子どもたちの遊び場、スケボーの技を磨くローリングボードを創って設置したり寄付を募ってお花畑を提案したりと活躍しています。そのリーダーも言ってました、海が汚れて一番に影響をこうむるのがボクたちサーファーなんだと。とにかく、気持ちよくサーフィンするためにも海のこと環境のこと考えざるを得ないんだと。

◇沿岸をおびやかす「難破船の残骸」に抗議
SAS(Surfers Against Sewage)下水汚物と闘うサーファーのメンバーが英自由民主党(キャンベル党首)の影の内閣でミリバンドのシャドーとして抜擢された環境大臣ノーマン・ベイカー議員と会う。
サーファーたちはミュールハイムのミニチュア版を運輸省に寄付した。
沿岸が汚染されるリスクを警告するコーンウォールの圧力団体によって「難破船の残骸」が官庁の外に設けられている。
SASは昨年、運輸局の正面階段にコーンウォール南西の岬(岩石の多い海岸線が美しい観光地)で座礁したRMSミュールハイムを再現したのだ。
油で汚れたサーファーたちがぐしゃっとつぶれたミニチュア版の船を海運大臣デイヴィッド・ジェイミソンにゆだねた。
このキャンペーン実施者らは南西沿岸はリスクが残ったままだと主張する。
座礁事件から今週で1年経っているにもかかわらず、ミュールハイムのオーナーの犯罪訴追手続きがいまだに行われていないとSASのメンバーは述べた。
・RMSミュールハイム
その船は解体するためコーンウォールの海岸にほっておかれている。
昨年の夏、海洋事故調査支局によって公表された報告が、船の死の一因となった幾つかの欠点を強調したとグループのメンバーらは述べた。
地元当局による沿岸のクリーンアップにもかかわらず、その地域のビーチに現れるミュールハイムから出たプラスチックや鋳型をサーファーたちは報告し続けた。
「ミュールハイムからの廃棄物は海洋環境で簡単に分解しないように、何年にもおよびボクらについてくる」とSASは言った。
「そもそもこれらの災難が起こるのを止めるのに、なかなかうまく処理できないことでよく知られる法律制定者の議員らにいま重きを置く」とキャンペーンを指揮するリチャード・ハーディは言った。
「もしかすると有害かもしれない積荷を運ぶ大型船舶のリスクからそのかけがえのなさを守るためにその領域を特別要注意海域にするのに助力してくれるようSASは大臣に求めている。」
海岸に打ち上げられたミュールハイムの残骸はいまも海によってばらばらにされている。
(BBC 24 March 2004)

◇SASは、UKコーンウォールのビーチを使うとき彼らが直面する健康損害のおそれについてますます心配するようになっていた熱狂的ウオータースポーツ・ファンらによって1990年に創設された。
海に注ぎ込まれる人間の廃棄物と有害な廃棄物が重い病気を引き起こしていた、そしてビーチに行く人たちは海に入るたびに自分の健康に対して「ロシアンルーレットをやっている」と感じた。
SASはウエットスーツにガスマスクをつけてリーフレットを手渡しする公のイヴェントにサーフボードを持って行くことで問題を人々に警告した。彼らはわけなくメディアと英国中に点在するウオーターユーザーの注意を惹きつけて、海や河川や湖に未処理の廃棄物を投棄するのを禁じるよう政府に圧力をかけることができた。キャンペーンを開始してわずか8年、この団体は1998年には政府が英国の水環境をクリーンアップするのに85億ポンド費やすことに同意するほど、上々のできだった。
SASはクールなイメージを獲得してきている。1999年にハリウッドのブロックバスター、レオナルド・ディカプリオが主演した映画「ザ・ビーチ」の監督はディカプリオのバックパックにSASのロゴを使いたがった。しかしながらSASは許可するのを拒んだ、なぜなら映画製作がタイの小さなトロピカルアイランド、ピピ島にもたらした環境破壊を心にかけたからだ。
(ブリティッシュカウンシル:英国文化振興会のサイトより)

◇SASが「グリーン」ゲームに着手する
もしかして気候変動の影響かもしれないのを一年かけて調査した後、SASはUKのサーファーが病気になってもおかしくないことを心配する。
このアニメーションゲームで遊ぶことで、波に乗る連中はどれほどのエネルギーが難なく節約されているかについていいアイディアを得られるはずだ。
サーファーのような連中を将来スポーツのためになるさらなる二酸化炭素削減の行動に出るための誓約と見なすことにSASは熱心だ。
とりわけ私たちは、もっとクルマを共有しよう、長距離フライトなしにもっと国内でサーフィン小旅行に出よう、そして再生できるエネルギー生活用品に乗り換えようと、彼らに励まされている。
「これは波乗りを満喫する誰もがやってみるべき楽しいゲームだよ。気候変動の衝撃を徹底的に調査しているのは将来波に乗りたくて思わずやること、意味を伝えて二酸化炭素を削減しエネルギーを節約するために、サーファーのようなコミュニティはスポーツ界で指導的役割を演じなければならない。ヤカンに必要なだけの水を沸かすと自分に念を押すだけでこのサイクルは自宅で始められ、旅の選択にビーチを考慮に入れることで完了する。」と、SASキャンペーンを指揮するリチャード・ハーディは言う。
(BBC 25 October 2007 )

写真は、コーンウォールの波、ほんと、かけがえのないものです。続いて大臣にミュールハイムのミニチュア版を寄付するSASメンバーたち。常にサーフボードを持っているのがいい!